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子どもたちの命

[2019.09.03]

10年ほど前でしょうか、学校現場でメディアとの付き合い方が問題となり、ある小学校で「メディアと脳の発達」と題して講演を行ったことがあります。ゲームの世界では電池を新しくしたり、リセットすれば登場人物は生き返ります。お兄ちゃんが亡くなって、弟が電池を持ってきて、兄ちゃんを生き返らしてくださいと頼んだ話が実際にありました。講演の中、生徒のみなさんに目をつぶっていただき、人間は死んでも生き返ると思う人は手を挙げて下さいと尋ねたところ、あちこちで手が上がり、会場が静まり返りました。父兄の皆さんも大勢おられ、言葉を失っていました。 子どもたちにとって命とは何なんでしょうか。

私が小さい頃、母から命についてよく話を聞かされました。良いことをすると死んだとき天国へ行けるが、悪いことをすると地獄に落ちる。そして何より大切な事は、自ら命を絶ってはいけないっていうこと。たとえ良い行いをしていても、自殺してしまえば餓鬼道へ、つまり地獄へ落ちるから、決して自殺をしてはいけないと教わりました。理屈はよくわかりませんでしたが、自分で命を絶ってはいけないと漠然と理解したようです。また身近に死がありました。身内が病院で亡くなることはあまりなく、家で看取っていましたので、なんとなく肌で死を感じることができました。今の子どもたちはそういう環境にはありません。

自分の命を大切にするにはどうしたら良いのか、親御さんもそれぞれ悩まれていることと思います。命とは何かを感じてもらうためには、先程の地獄に落ちないための話(いわゆる摺込み)もありますが、以前読んだ昆虫についてのエッセイの中に、「虫たちが命の大切さを子どもたちに教えてくれます」という一文がありました。私も記憶がありますが、小さい頃、バッタの足をもいだり、虫かごにバッタをいっぱい詰め込んで、2 、3日するとみんな死んでしまうのを見たりしていました。その時はかわいそうだとの思いはありませんでしたが、自分が成長するにつれて、その時死んでいったバッタの命について考えるようになりました。バッタが私たちに、死ぬ事とは何かを教えてくれているようでした。つまり実際に死を目の当たりにしないと、死は理解できないのです。今、いじめなどで子どもの自殺が増えています。この話が、自分の命も友達の命も大切にしなければならない事を、子どもたちに伝える一助になれば幸いです。

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