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長岡在宅フェニックスネットについて

[2019.06.21]

 

現在、国はいわゆる2025年問題の人口動態の変化に対応すべく地域医療構想を推し進めています。地域ごとの人口と実態に合わせ4つの病床区分の割合を決め、それに沿って病床の転換を図り、また入院を減らすため在宅医療に重点を置いています。そして在宅医療の構築を、各郡市医師会に委ねてきました。そのため郡市医師会ではそれぞれ知恵を絞って在宅医療の構築に取り組んでいます。       

長岡市医師会では長岡市と共同し地域包括ケア推進協議会を2013年に立ち上げ、在宅医療のシステムの検討を行ってきました。本年2月には構想が出来上がり、11月より試験運用が開始されましたので紹介します。

以下の3つの項目を検討してシステムの概要を決定しました。

 1 失敗に学ぶ。これまで150以上の在宅のICTシステムが作られましたが、そのほとんどが機能していません。何故か。医師を中心とした考えで作られ、医師に多くの負担が掛り、また訪問看護師にとっても仕事が2倍3倍に増え、業務の維持が困難となった。2 医師が在宅診療に参加する場合の障壁は何か。在宅への参加に対する不安は、24時間365日の対応と患者の急変時または自分の不在時の後方支援病院への患者受け入れ体制がうまく機能するか。3 長岡にある医療資源を有効に使う。1)長岡の二次救急医療体制は3病院の輪番で行われ、98%以上が長岡管内で完結している。2)こぶし園の小山さんが提唱していたICTを使った在宅介護のシステムがあった。

ここから導き出されたシステムは①医師、訪看、患者のトライアングルが基本であるが、医師の関与が希薄でも、存続が可能なシステムとする。その為には、ICTを使い訪問看護師の業務を省力化、効率化し、更にレセコンとの連動も可能にする。そして訪看にとってこのシステムが必要不可欠なものとする。また医師は時々自分の患者の情報を覗き見する程度でもよい。②24時間の対応を訪看に担っていただく。③後方支援病床の役割を、基本的には救急と同様、3病院の輪番で行っていただく。④登録された全ての人の情報を救急隊と二次救急病院でも閲覧できる。

 そしてこのシステムのもう一つの特徴は、新しい考え方の救急のICTを包含している点です。これまでの救急のICTは、ほとんどが救急隊から病院へ患者のバイタルを送るシステムですが、私たちが提案する方式は救急患者のデーターベース化です。つまりフェニックスネットに登録された全ての人の情報を救急隊と二次救急病院との間で共有でき、より迅速に患者の状況を把握し対応できる利点があります。長岡では年間1万人の救急搬送がありますが、その内の55%が65歳以上で、更にその3/4が在宅や介護を受けている人です。長岡では12,000人が介護認定されていますが、全ての人がネットに登録されれば、救急搬送される患者の40%以上を事前に把握する事が出来ます。 

因みに試験運用が始まってまだ1か月ですが、現在の参加機関の状況は、診療所18、訪問看護ST 12(看護師80名)です。そして患者の登録数は診療所から629例、訪問看護STからは2068例、介護サービスを含めた全体では3893例が登録されています(一部重複があります)。

 以上、長岡で始まったICTを使った在宅医療のシステムと新しい救急のICTの方式についてお示ししました。参考にしていただければ幸いです。

                           2016.1 新潟県医師会誌                              郡市医師会長の声

 

           

 

 

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