不慮の事故を防ごう
<目次>
7 交通事故
1.溺水(溺れて窒息すること)
溺れやすいところ:海・川・プール・用水路
乳幼児の場合は、家庭の中での事故が多く発生しています。子どもは水深5cmあれば溺れてしまう可能性があります。
家庭の中で溺れやすいのは、お風呂・ビニールプール・洗濯機・水槽・トイレ・洗面台 など。
*お風呂:お風呂の扉は常に閉めておく。子どもの手の届かないところに鍵を取り付ける。残り湯を溜めない。 浴槽の蓋を固い素材にする。など環境の見直しをしましょう。
●もし溺れているのを発見したら・・・
☆すぐに水から引き上げましょう。
☆意識・呼吸の確認をしましょう。
☆人手が必要!すぐに誰かを大声で呼びましょう。
☆意識がない場合はすぐ救急車を呼びましょう。
☆体が冷たかったら、すぐにタオル等でくるんで保温しましょう。
☆意識がすぐに戻っても、肺炎などを起こす可能性もありますので、医療機関を受診しましょう。
『いつ』『どこで』『どのくらいの時間』溺れていたのか、意識・呼吸の有無、その際の対処の経過が大切です。慌てず、落ち着いて行動し、チェックしましょう。
*溺水の事故はほんのわずかな時間、目を離したすきに起こっています。乳幼児は特に水の近くでは目を離さないように気をつけましょう。
*小・中学生になると、海・川・池・プールなどの屋外の事故が多くなります。
普段からの水の危険性を意識づけ、なぜ危ないのかを家庭内で話しておくことが大切です。
窒息・誤飲
窒息:気道が塞がったり、酸素が欠乏して呼吸ができないこと。
誤飲:食べ物や飲み物以外のものを間違って飲み込んでしまうこと。
●窒息・誤飲につながることが多いものやことがら
気道の異物:直径3.2cm(500円硬貨の直径は2.7cm)長さ5.7cm以内の物
おもちゃ(特に小さなおもちゃ、部品)、硬貨、電池、スーパーボール、ピーナツなどの豆類、あめ、こんにゃくゼリー、パン、おにぎり、たばこ、医薬品、化粧品、石鹸、防虫剤
異物のない酸素欠乏低酸素:袋をかぶって遊ぶ、ぬいぐるみや柔らかい布団など
首が絞まる:マフラーの巻き込み、ヘルメットの紐、服やよだれかけの紐、フード付きの服、シートベルト
●予防が大切!
・乳児は、不慮の事故の中では窒息が第1位。家庭などで目を離す時は、周囲に危険なもの(上記参照)がないかを確かめましょう。
・食事をするときは、仰向けになったり、歩きながらや遊びながら食べない、ふざけて口に大量に詰め込んだりしない、よく噛むなど 家庭内でよい食事マナーを身につけられるようにしましょう。
・子どもが口に入れてしまいそうな大きさのものは、立って手を伸ばしても届かない場所(1メートル以上の高い所)に置くようにしましょう。
・学童より大きな子どもでも、パンなどの早食い競争、マフラーの巻き込みでの窒息事故が起こっています。どのような遊びが危険であるか、子どもにも教えていきましょう。
●もし窒息・誤飲したら・・
*119番
窒息や呼吸困難を起こしていたら(意識がない、ぜーぜー苦しそう、顔色が悪い)、まず119番通報しましょう。大声で協力者を呼び、直ちに以下の処置(背部叩打法・背部突き上げ)をこころみて下さい。
*中毒110番
化学物質、医薬品などを実際に誤飲してまった時に、電話で相談してください。
大阪 中毒110番(情報提供料無料)(072)727-2499 24時間対応 つくば中毒110番(情報提供料無料)(029)852-9999 毎日9~21対応 |
相談時や受診の際には・・ 『いつ』『何を』『どのくらい』食べた(飲んだ)のか大切です!チェックしておきましょう。
飲んでしまったものの残りや、入っていた容器・箱を持って受診しましょう。 |
●異物を取り除く
背部叩打法<乳幼児>
救助者の片腕に、子どもをうつぶせに頭が下がるように乗せて、手で顔を支え、もう一方の手の付け根で背中の真ん中(肩甲骨の間)を何度も連続して叩く。
小児:救助者が片足たて膝した太ももに、子どものみぞおちが圧迫されるようにうつぶせにして頭をさげ、背中の真ん中を何回も連続して叩く。
背部突き上げ法(ハイムリッヒ法)
後ろから両腕を回して抱え、子どものみぞおちで握りこぶしを作り、それをもう片方の手で握り、すばやく手前上方に圧迫するように突きあげる。
*意識がなくなったら、胸部を心臓マッサージして、心肺蘇生法と同じ方法を行います。(胸部圧迫法)
●もしも何かを飲み込んでしまったら・・・
<吐かせてよい場合>
・たばこ、化粧品、医薬品、ナフタリン、しょうのう、パラジクロル、ベンゼン(牛乳禁忌)、ホウ酸団子、石鹸、アルコール
<吐かせてはいけない場合>
・強酸性・強アルカリ性のもの(トイレ用洗剤・漂白剤など)
・石油製品(灯油・ガソリンなど)
・マニキュア・除光液
・生石灰
・画びょう・針のようにとがったものを飲んだとき
*意識がないとき
*窒息・呼吸困難をおこしている(顔色悪く、ゼーゼー苦しそうな)ときは急いで救急車を呼んでください。
*たばこを2cm以上食べたり、たばこの灰皿の汁や、たばこを捨てたジュース缶などの残りを飲んだ場合はできるだけ早く医療機関を受診してください。
転落(段差があるところで落ちてしまうこと)
●転落につながることが多いものや事柄
*家庭内で事故が起こりやすい場所:階段、ベッド、椅子、ベランダ、窓など
*柵のそばに置いてある踏み台となるもの:ダンボール箱、ビール瓶ケース、クーラー室外機、植木鉢、ベッド内の布団など
*柵の安全性:子どもの頭が入らない柵の幅、ベッド内で足がかかる位置から柵の最上部までの高さ、階段など装着する転落防止柵の設置状況
*子どもの注意:遊びに夢中になって、危険を察知できないこと
●予防が大切!
・転落事故は、子どもから目を離したわずかな時間で起きています。
・ベッドやベランダのそばには踏み台となるような物を置かず整理整頓に心がけましょう。
・またベッド・ベランダなどの柵の安全性、階段の転落防止柵の設置
・柵の上げ下ろし・開閉を確実に行うなど日ごろから安全な環境を整えましょう。
●転落してしまったら…
★119番
意識がはっきりしない、吐く、けいれん症状や、ひどい出血がみられるときは119番通報しましょう。どのくらいの高さから、どのような所におちたのか。子どもの状態を伝えましょう。
★受診について
出血している、痛がる、腫れてくるなどの様子が見られたら受診しましょう。
<出血している>
・出血をしている傷口をガーゼなどで抑えて止血しましょう。
・砂などついていれば、洗ってから抑える。
・なかなか止血できない時は、傷口よりも心臓に近いところ
・肘の内側、太腿の付け根を圧迫してみましょう。
<痛がる>
衣服をゆるめ、意識状態、痛みの部位、腫れなど他の症状と併せてみていきましょう。
<腫れてくる>
腕や足など痛みを伴う腫れがあるときは、その部位をできるだけ動かさずに安静をたもちましょう。
頭にこぶができた、皮膚が紫色に変色(内出血)した時は患部を冷やしましょう。→こぶがブヨブヨしていたり、出血時は病院へ
*頭をぶつけた直後に吐くのは、たいてい「ぶつけたショックによるもの」が多いですが、2~3時間たってからの吐き続く場合、脳内出血による 脳の圧迫で吐いている恐れあり、要注意!(1日は気をつけてみていましょう。)
熱傷(皮膚にあついものがついておこる傷害のこと)
●やけどをおこすもの
・ポットややかんの沸騰したお湯、熱い味噌汁・スープがひっくりかえる。
・炊飯器や加湿器の蒸気にふれる。
・てんぷらの油がとぶ
・魚焼き器・オーブントースタにふれる
・熱いお風呂に落ちる
・アイロン・ストーブにふれる
・花火の火が衣服に燃えうつる
・低温やけど(ゆたんぽ・カイロ、ホットカーペットの長時間使用)など
●やけどをしてしまったら…
すぐに流水で5分以上冷やす!(傷の治りに影響します。)
直接、流水をあてられない場合
アイスノンや冷たいタオルを何回もかえましょう。
衣服の上から熱湯をかぶった場合
水泡をつぶしてしまうことがあるので、無理に脱がさず、服の上から流水をかけましょう。
全身に熱湯をかぶった場合
すぐに救急車を呼びましょう。救急車が来るまで、濡れたバスタオルにくるみ、その上からタオルケットで保温しましょう。(流水で冷やすと低体温になってしまうため)
● 受診する目安
広範囲のやけどや顔面の場合はすぐに救急車を!
・広範囲のやけど(子どもは大人の手のひら2つ分でショックをおこしてしまう)
・顔(表面は大したことなくても、内部がひどいことがある)
・手や足の指(皮膚がくっついてしまうことがある)
・性器のやけど
・水泡ができたやけど(水泡がつぶれると感染をおこすことあり)
『いつ』 『なにを』『からだのどのくらいの範囲』『どのくらいの時間』熱いものがかかったのか伝えられるようにチェックしておきましょう。 |
●予防が大切!
・きのうはできなかったことが翌日にはできるようになっていたり…子どもは日々成長しています。まさか…と思わず、熱いものは子どもの手の届かないところに置きましょう。大人が熱いものを持っている時も要注意です。
・花火やバーベキューなどで火を使う時は、バケツに水をくんで近くに置いておきましょう。
交通事故
2歳以上になると死因の中で交通事故が一番多くなります。
幼児期は歩行中・飛び出し・自転車同乗中、小学生では自転車事故が多いです。
事故に遭った子どもたちのうち 幼児の4割、小・中学生の7割が「自転車運転中」「歩行中」です。
・信号のない交差点で安全確認を怠ったため。
・横断歩道以外の場所を横断したため
・道路に飛び出したため。
成長・発達にあわせて「止まる」「見る」「待つ」の習慣を身につけさせ、正しい判断・行動ができるように指導しましょう。
*大切な子どもの命を守るためにチャイルドシートを必ず使用しましょう。
チャイルドシート不使用時の死亡死傷率は使用時の約3倍!
新潟県のチャイルドシート使用率は全国下位の37位!!
チャイルドシートの使用は運転者の義務です。シートの安全性は正しく取り付けてはじめて発揮されます。子どもの成長にあわせてシートの種類やタイプをえらびましょう。体の小さな子どもが大人用のシートを使用すると、衝突時にすり抜けたり、首にかかって窒息や首の骨折の危険性があります。
<引用・参考文献>
・WHO
・子どもの事故防止ノート(日本小児看護学会)
・新 子どもの事故防止マニュアル(田中哲郎著 診断と治療社)
・チャイルドシートで子どもの命を守りましょう(新潟県警察・交通安全対策連絡協議会)
・小児救急ハンドブック(新潟市医師会・新潟市小児科医会)
・小児科BOOKI(山田真著 ジャパンマシニスト)