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ロタウイルス胃腸炎

ロタウイルス感染症は、乳幼児を中心に子どもに多い急性胃腸炎を引き起こす病気です。2〜3月にかけて最も多く発生し、潜伏期は1~3日でます。症状は、水溶性の下痢(時に便が白くなり、以前は白色便性下痢症と言われていました)嘔吐、発熱や腹痛です。他のウイルス性胃腸炎にくらべて下痢や嘔吐の症状がはげしく脱水になることが多いため、点滴治療や入院が必要となる子どもが多くいます。そして重要なことに、反復する痙攣を起こす胃腸炎関連性けいれんを引き起こすことがありあす。またこれとは別に、脳炎、脳症を起こしやすい疾患の一つですので注意が必要です。そのため、ロタウイルスに対するワクチンが開発され、任意接種が積極的に行われています。

 

*ロタウイルスは、10-100個程度でも体内に入れば感染するので、非常に感染力が強く、(便1g中には1億から100億程度のウイルスが排出されます)放置しておきますと簡単に家族や周りの人に感染しますので、吐物や下痢の処理には十分注意してください。石鹸や、アルコールでは除菌できず、ハイターなどの次亜塩素酸が有効です。

胃腸炎関連性けいれん

「ウイルス性胃腸炎に伴う無熱性けいれん」という病気があります。0-2歳前後の乳幼児で、脱水を伴わない程度の軽症の下痢症で発熱(38℃以上)がないにもかかわらず、けいれんを起こします。けいれんの多くは短い(数分以内)全身性けいれんであり、すぐに意識も戻り普段の状態となりますが、しばしば繰り返してけいれんをおこします。どの下痢症でもおこしますが、冬季の乳児の下痢症の原因として多いロタウイルス腸炎やノロウイルス腸炎に伴い、下痢が始まって1-2日目あたりにおこすことが多いようです。このタイプのけいれんには、けいれんの治療によく使われるジアゼパムの坐薬(ダイアップ坐薬)は効きにくいです。カルバマゼピン(抗けいれん剤)を飲ませたり、リドカインという薬を点滴したりします。けいれんが止まれば、治療は中止してかまいません。この病気は下痢症のときだけの一時的なけいれんですので、こどもさんの発達などに影響することはありません。また、繰り返すことも少ないので、下痢症のたびに予防的に抗けいれん剤を服用する必要はありません。

 

(大阪市立大学発達小児医学 服部英司 2007年1月6日//2016年7月QA委員改変)

 

ロタウイルスの便(写真)

 

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